6月・7月の観察会スケジュール

日中暑くなってきました。6月、7月の観察会スケジュールのお知らせです。

 

<6月の観察会スケジュール>

「ヘイケボタルの観察会」

日時:6/6(土) 19:30~21:00

場所:美浜町奥田・恋の水神社

◇美浜町の田んぼでは、この時期、ヘイケボタルがあらわれます。かつては、人々の生活にとても身近なホタルでしたが、生息環境の変化により、自生地は激減しています。緑色の光をゆっくりと明滅させながら、田んぼの水面を飛ぶヘイケボタルを観察します。

※内容の詳細は、5月下旬に掲載します。

 

「第1回 モンテッソーリ読書会」

日時:6/14(日) 13:00~16:30

場所:名古屋市北区・北生涯学習センター

◇昨年12月に準備会を開催したモンテッソーリ読書会。6月の会場は、名古屋市北区の北生涯学習センター(地下鉄「黒川」駅、4番出口より徒歩3分)になりました。テキストの「第1章マリヤ・モンテッソーリのしごと」を読んで、ご参加ください。まだテキストを入手していない方は、お早めにご連絡ください。

※内容の詳細は、5月下旬に掲載します。テキストの入手につきましては、mail(at)hanayasuribooks.com(相地透)にご連絡ください。

 

「第32回 西味鋺観察会」

日時:6/27(土) 10:00~12:00

場所:西味鋺コミュニティセンター

◇今回は、矢田川水辺の広場で、水生昆虫など生きものを探します。小魚やヤゴなどを捕まえて、飼ってみたいという方は、虫かごやバケツなど容器を準備して、ご参加ください。

※参加のご連絡は、mail(at)hanayasuribooks.comにお願いします。

 

<7月の観察会スケジュール>

「第16回 椋鳩十を読む会」

日時:7/18(土) 11:00~12:00/13:30~16:30

場所:CORE SELDOM(芸音)/昭和生涯学習センター

◇午前の部は、スタジオで歌の練習をします。午後の部の課題図書は、今回も「孤島の野犬」より「消えた野犬」を読みます。「椋鳩十の野犬物語」(理論社)に収録されています。「孤島の野犬」3部作は、「椋鳩十全集(5)孤島の野犬」(ポプラ社)、「孤島の野犬」(偕成社文庫)で読むことが出来ます。「椋鳩十と戦争」は、「第7章」(孤島の野犬の章)を読みます。

※内容の詳細は、6月下旬に掲載します。

 

ヒメボタルの観察会

「ヒメボタルの観察会」のお知らせです。ヒメボタルは、5月にあらわれ、雑木林の内外などで飛翔発光します。月明かりの下、金色の光を点滅させながら雑木林や草むらを飛ぶ姿からは、昼間の雑木林とは異なる夜間の生命の営みを実感できます。夜遅い時間の観察になりますが、興味のある方は、是非ご参加ください。(写真は、2024年5月撮影)

 

〇日程/2026年5月23日(土) ※雨天中止

〇時間/21:30集合~23:00頃、終了予定 ※30分ほど延長することがあります。余裕をもってご参加ください。

〇集合場所/東海市・姫島八幡神社 地図はこちら

※当日は2か所観察します。集合場所への行き方は、参加のご連絡をいただいた後、ご案内します。

〇費用/無料

〇その他/トイレは、ありません。歩きやすい靴でお越しください。メモを取る場合は、手元を照らすライト、筆記用具をご用意ください。

★予定の変更など/開催日の前に、予定の変更など、ご連絡をする事があります。その場合は、お申し込みいただいたメールアドレスにご連絡しますので、お手数ですが、当日の前に一度メールをご確認ください。よろしくお願い致します。

 

参加のお申し込みはこちら

 

月刊「HANAYASURI」の発行について

復刊を目指しております、月刊「HANAYASURI」は、予約者数が目標に達しなかったため、本年度の刊行はありません。2027年4月の復刊に向けて、引き続き取り組んで参ります。どうぞよろしくお願いいたします。

所属されている会などで、購読を取りまとめてくださる方がございましたら、大変有難く存じます。冊子のサンプルがご入用の場合は、お気軽にご連絡ください。

 

月刊「HANAYASURI」についての詳細はこちら

 

SCENE in the pen. 104

“Powdery weevils”

I came to the woods in early summer. As I was looking at the clump of adder’s tongue ferns, I notice a weevil perched on the tip. As soon as I noticed one, I spotted several more in the grass around me. This weevil, covered green powder, does not have a long proboscis. [MAY 2026]

Eugnathus distinctus

 

おもにクズの葉につくコフキゾウムシ。緑色の粉をふいた体が特徴的です。ゾウムシの仲間ですが口吻は長くありません。体長5ミリほどと小さいので目に留まりづらいですが、色んなところで見かけます。

 

<Traduction en français>

SCÈNE dans la pen. 104  “Des charançons recouverts de poudre”

Je suis arrivé dans la forêt au début de l’été. En observant la buisson de langue de serpent fougères, j’ai remarqué un charançon perché à son extrémité. Quand j’en ai aperçu un, j’ai vu qu’il se trouvait sur l’herbe autour de moi. Ce charançon recouvert de cette poudre verte n’a pas de long rostre.  [Mai 2026]

 

「初夏の観察会」のお知らせ

「初夏の観察会」のお知らせです。観察地は、武豊町自然公園。初夏、自然公園の周辺では、たくさんの花が咲きます。松林では、新美南吉が「松ゼミ」と呼んで親しんだ、ハルゼミが鳴き、ホトトギスの声も雑木林に響きます。木から垂れ下がって咲くテイカカズラの花。林床には稀少なムヨウラン。水を含んだ土と草の匂いが心地よい雑木林を抜ければ、昔ながらの谷あいの田んぼ。自然公園の初夏の空気を体いっぱいに吸い込んで歩きます。(写真は、ハルゼミ。2024年5月撮影)

 

〇日程/2026年5月10日(日)

〇時間/13:30集合~16:00頃、終了予定 ※30分ほど延長することがあります。余裕をもってご参加ください。

〇集合場所/武豊町富貴・自然公園南門駐車場 地図はこちら

※自動車の場合は、知多半島道路「武豊インター」を下りて、右折。すぐ先の「嶋田」交差点を右折し、県道272号を直進。突き当りの交差点「武豊運動公園前」を右折。しばらく走り、知多半島道路の高架を越えると、右手に駐車場があります。インターからは、7~8分ほどです。

※電車の場合は、最寄りが名鉄「富貴」駅になります。13:12着の列車(河和行)でお越しいただけましたら、迎えに行きます。

〇費用/無料

〇その他/観察会の前に昼食をとられる方は、各自ご用意ください。トイレは、自然公園駐車場にあります。ぬかるんでいる場所もあります。歩きやすい靴でお越しください。メモを取る場合は、筆記用具をご用意ください。

★予定の変更など/開催日の前に、予定の変更など、ご連絡をする事があります。その場合は、お申し込みいただいたメールアドレスにご連絡しますので、お手数ですが、当日の前に一度メールをご確認ください。よろしくお願い致します。

 

終了しました。ご参加いただきありがとうございました。

 

椋鳩十を読む会・5月

奇数月第3土曜日に開催している「椋鳩十を読む会」。椋鳩十の文学作品を読み解きながら楽しく活動しています。今年は、午前と午後の二部制で開催しています。

午前の部は、今池にある音楽スタジオ「CORE SELDOM(芸音)」で歌の練習をします。開始時間が11:00になりますので、10分前には、スタジオにお越しください。練習後、各自昼食をとって、中生涯学習センターへ移動。時間に余裕をもたせて、13:30から読書会を始めます。午前だけ、午後だけの参加でも大丈夫です。たくさんのご参加をお待ちしております。

〇日程/2026年5月16日(土)①11:00~12:00 ②13:30~16:30

〇場所/①スタジオCORE SELDOM(芸音) ②中生涯学習センター・第1集会室

〇アクセス/①名古屋市営地下鉄「今池」駅下車。1番出口を出て、正面徒歩2分。近隣にコインパーキング有り。 ②名古屋市営地下鉄「上前津」駅下車。6番出口を出て、大津通り沿いに東別院方面へ進み、「下前津」交差点を右折すると着きます。徒歩8分。有料駐車場有り(1回300円)。

★地図はこちら↓

スタジオCORE SELDOM (芸音)の場所

中生涯学習センターの場所

〇参加費/大人700円、子ども(小学生以下)350円 ※資料代、会場代に使用

〇内容/<スタジオ>・歌の練習 <生涯学習センター>・お知らせ ・読解「椋鳩十と戦争」~第六章 ・課題図書「孤島の野犬」

〇備考/・初めての方には、当日楽譜をお渡しします。・「孤島の野犬」は長い物語です。「椋鳩十全集5」(ポプラ社)、「孤島の野犬」(偕成社文庫)で全文を読むことが出来ます。当日は「椋鳩十の野犬物語」(理論社)の収録個所を読みます。・「椋鳩十と戦争」(多胡吉郎著/書肆侃侃房、2024)は、「第六章」(※片耳の大鹿の章)を読み解きます。・初めての方もお気軽にご参加ください。

 

参加を希望される方は、mail(at)hanayasuribooks.com(相地透)までご連絡ください。

 

5月・6月の観察会スケジュール

春もそろそろ終わり始め、道端では、ヒメコバンソウなどイネ科の植物を見かけるようになりました。5月、6月の観察会スケジュールのお知らせです。

 

<5月の観察会スケジュール>

「初夏の観察会」

日時:5/10(日) 13:30~15:30

場所:武豊町富貴・自然公園

◇武豊町自然公園での観察会は、3年目。今年は、昨年の初夏の観察会よりも少し早い開催です。昨年はほとんど聞こえなかったハルゼミや、夏の到来を告げるホトトギスの鳴き声を探しながら、雑木林の花と生きものを観察します。

 

「第15回 椋鳩十を読む会」

日時:5/16(土) 11:00~12:00/13:30~16:30

場所:CORE SELDOM(芸音)/中生涯学習センター

◇午前の部は、スタジオで歌の練習をします。午後の部の課題図書は「孤島の野犬」です。3部作の長い物語ですので、「椋鳩十の野犬物語」(理論社)には、2部、3部しか収録されていません。全文は「椋鳩十全集(5)孤島の野犬」(ポプラ社)、「孤島の野犬」(偕成社文庫)で読むことが出来ます。当日は、3部作のうち「丘の野犬」を読む予定です。「椋鳩十と戦争」は、「第6章」(片耳の大シカの章)を読みます。会場は、いつもの昭和生涯学習センターでは、ありません。ご注意ください。

内容の詳細はこちら

 

「ヒメボタルの観察会」

日時:5/23(土) 21:30~23:00

場所:東海市・姫島神社ほか(変更の場合あり)

◇2年ぶりに、ヒメボタルの観察会です。ヒメボタルは、一生を陸で過ごす陸生ホタル。主に雑木林などに生息しています。オスは、金色の光をピカピカと点滅させながら、木々の間を飛び、メスを探します。飛翔発光の始まる時間が、深夜になるため、21時半頃から観察を始めます。

内容の詳細はこちら

 

<6月の観察会スケジュール>

「ヘイケボタルの観察会」

日時:6/6(土) 19:30~21:00

場所:美浜町奥田

◇美浜町の田んぼでは、この時期、ヘイケボタルがあらわれます。かつては、人々の生活にとても身近なホタルでしたが、生育環境の変化により、自生地は激減しています。緑色の光をゆっくりと明滅させながら、田んぼの水面を飛ぶヘイケボタルを観察します。

 

「第1回 モンテッソーリ読書会」

日時:6/14(日) 13:30~16:30

場所:名古屋市中区・中生涯学習センター(※予定)

◇昨年12月に準備会を開催したモンテッソーリ読書会。今年は、6月、8月の読書会で、テキストの第1章、第2章を読みます。第一回目は、「第1章マリヤ・モンテッソーリのしごと」です。参加を検討していて、まだテキストを入手していない方は、お早めにご連絡ください。

※内容のお問い合わせ、テキストの入手は、mail(at)hanayasuribooks.com(相地透)にご連絡ください。

 

「第32回 西味鋺観察会」

日時:6/27(土) 10:00~12:00

場所:西味鋺コミュニティセンター

◇今回は、矢田川水辺の広場で、水生昆虫など生きものを探します。小魚やヤゴなどを捕まえて、飼ってみたいという方は、虫かごやバケツなど容器を準備して、ご参加ください。

 

※6月の観察会の詳細は、5月下旬以降掲載します。

 

観察会「海浜植物の花をみる」のお知らせ

観察会「海浜植物の花をみる」のお知らせです。常滑市にある鬼崎漁港近くの海岸では、この時期、ハマヒルガオ、コマツヨイグサ、コウボウムギ、コウボウシバ、ハマボウフウ、ツルナなど海浜植物の花が咲き揃います。また、全国的にも生育地が少なく貴重なスナビキソウの自生地でもあります。初夏間近の海風を感じながら、散策します。(写真は、コウボウムギ。4月撮影)

 

〇日程/2026年4月29日(水・祝)

〇時間/13:15集合~15:30頃、終了予定 ※30分ほど延長することがあります。余裕をもってご参加ください。

〇集合場所/常滑市・名鉄「蒲池」駅前

※自動車の場合は、「とこなめ市民交流センター」駐車場(地図はこちら)に車を止めて、お越しください。名古屋方面からは、国道155号線沿い「午新田」交差点を右折し、2分ほどです。

※電車の場合は、最寄りが「蒲池」駅になります。13:14着の列車(名鉄常滑線、中部国際空港行)がちょうど良い時間になります。

〇費用/無料

〇その他/観察会の前に昼食をとられる方は、各自ご用意ください。トイレは、蒲池駅、市民交流センターにあります。砂浜を歩きます。歩きやすい靴でお越しください。メモを取る場合は、筆記用具をご用意ください。

★予定の変更など/開催日の前に、予定の変更など、ご連絡をする事があります。その場合は、お申し込みいただいたメールアドレスにご連絡しますので、お手数ですが、当日の前に一度メールをご確認ください。よろしくお願い致します。

 

終了しました。ご参加いただき、ありがとうございました。

 

伊那谷をめぐる(八) 座禅草、花木、片栗(下)

4月5日。今年も喬木村の阿島祭りの季節がやってきた。3月になると、今年はどうしようかと考える。春は、いろいろすることが多くなってくるので、気ぜわしい。今年はやめておこうかなと思いながらも、半ばを過ぎてくると、やっぱり行こうと思い到る。

一年が巡って、今年もやってきた春。五穀豊穣、商売繫盛、無病息災、家内安全。地域に暮らす子どもたちの健やかな成長祈願。古くから土地に息づくお祭りは、さまざまな意味をもつけれども、大きく言えば「季節を祝う」ということなのだと思う。春には、春の祭り。夏には、夏の祭り。秋には、秋の祭り。冬には、冬の祭り。季節ごとのお祭りを自分の暮らす地域で想い描けるということは、とても、心に豊かなことだと思う。

午前中、喬木村に行く前に、飯田市梅ケ久保にあるカタクリの里を訪ねることにした。飯田インターを下りて、いつもとは反対方向である山側に折れる。この秋に登ろうと思っている飯田のシンボル・風越山(1535メートル)と、その手前の虚空蔵山(1130メートル)を右手に見ながら、笠松山(1261メートル)の麓を目指す。道は分かりやすく、道中案内も立ててあり、インターを下りて10分ほどで到着した。途中、枝垂れ桜がきれいに咲いていた。こちらに来ると、枝垂れ桜をよく見かける。伊那谷の桜は、全体的に少しクリームがかった、落ち着いた色合いをしている気がする。

開花時期を調べずに来たため、咲いているのか不安だったけれど、「終わった花もあるけれど、またたくさん咲いていますよ」とのこと。木道を歩くと、数千株のカタクリの花が咲きそろっていた。見事で楽しくなる。花は、やや赤みのかかった紫色だが、おぼろげな色。裏側が白いため、染めた花弁の色が裏に滲んだようにも見える。

しゃがんで花を観ていると、「アリがいるよ」と呼ばれた。行ってみると、胸部の赤い大きなアリが、忙しそうに歩いていた。そういえば、似たようなアリをハナノキ湿地のそばの畑沿いで見たな、と思い出す。そちらのアリは、赤い胸部が尖っていた。帰ってから調べてみると、カタクリの里で見たのは、ムネアカオオアリ。湿地のそばで見た尖っていたのは、トゲアリ。トゲアリは、朽木、枯れ木などに巣を作るムネアカオオアリなどの巣に、一時的に寄生するらしい。ムネアカオオアリにとっては天敵だ。巣を作らずに集団移動するアミメアリという種もいるし、社会性を持つと、それに従い、集団独自の行動様式が生まれる。

カタクリの里は、約1ヘクタールと広い。林縁の植物を観察しながら、傾斜を上がる。伊那谷では見慣れてきたシダの仲間、トウゲシバ、マンネンスギ、ヒカゲノカズラ。3月の訪問地では咲いていなかった、ショウジョウバカマ。一緒に来ている小学生の男の子が「スミレがあった」と教えてくれたので、行ってみる。名古屋や知多半島では見かけない種類。ほとんど白に近い、淡い藤色の花を横から見ると、距が細長く、赤紫色がよく目立つ。茎や萼、葉の葉脈や裏側が、赤みがかっている。調べてみると、ゲンジスミレのようだ。ゲンジスミレは、長野に多いスミレの仲間で、ほかには、東北、関東、中国、四国地方に隔離分布する。

なぜ遠く離れた土地に分布しているのかは分かっていない。スミレの種子散布というと、弾けて飛ぶほかに、アリによる散布が知られている。普通に考えたら、一か所から周辺に広がっていくと思うが、アミメアリのような移動性のアリが運んでいったのだろうか。そもそも満遍なくあったが、何かしらの理由で、今あるところにだけ残ったのかもしれない。分布している土地だけに共通する地質があるのだろうか。「源氏菫」という、どこか文学にも近そうな種名も相まって、気になる存在になってくる。

木では、キブシの花が咲いていた。シダの上に散っていた黄色い花は、ダンコウバイ。この木の花も丘陵地に春を告げる。ハナノキも花が咲いていた。花穂が風に揺れるハンノキの枝には、少し大きな鳥が止まっていた。「ギャッ」と鳴いて飛んだので、カケス。

ゆっくり観ているうちに、時間を大幅に超えていることに気づく。川面に棚引く鯉のぼりと、川向うの桜を見ながら、急ぎ足で下りる。入り口に戻ると、自然愛護会の方々が、一つ一つ育てた鉢植えを販売していた。タンチョウソウ、イカリソウ、オキナグサ。植木鉢を見て、みな話が弾む。カタクリも花が咲くまで、7年かかる。時間をかけて花を増やしていくには、土地の自然に深い親しみが無ければできない。名残惜しいが、喬木村へ出発。正面に見える伊那山地の麓から、明るいお囃子の音が聞こえた気がした。

 

 

伊那谷をめぐる(七) 座禅草、花木、片栗(中)

ハナノキは、カエデ科の樹木である。3月になると湿地の周辺で、若葉の出る前に、赤い花を咲かせる。花のあとにできる種子はプロペラ状。くるくると風にのって分布を広げる。秋になると、イロハモミジなど、ほかの楓の仲間と同じように紅葉する。

ハナノキのルーツはとても古い。祖先種であるブラウンカエデの化石が、約1300万年前の地層から見つかっている。1300万年前というと、地質学的には新生代第三紀にあたる。現在、私たちが生きている時代は、新生代第四紀。恐竜がいたのは、新生代の一つ前の時代である中生代。第三紀は、恐竜が絶滅して長い年月が経ち、地球全体が暖かくなり、被子植物が大地を緑にし、ほ乳類が繫栄し始めた時代。北極周辺で繁栄していた祖先が、繰り返し訪れた氷河期を乗り越えて、形を変え、北米、日本で生き残った。

ハナノキは日本固有種であり、恵那山周辺の長野、愛知、岐阜に自生地が集中している。愛知県では県の花になっているが、自生地は少ない。武豊町の自然公園にもハナノキはたくさん生えているのだが、ずいぶん昔に人が移し入れたものが増えたのだろう。

伊那谷の自生地は、飯田市、阿智村、阿南町に広がる。以前、飯田市美術博物館を訪ねたとき、ミュージアムショップに並んでいた「ハナノキ湿地の自然史 赤き楓のシンフォニー」(2008)という展覧会図録が目に留まった。ハナノキの紅葉と裏表紙には花の写真。地の色も赤い、真っ赤な装幀の図録。この図録の印象はとても強く、毎年ハナノキを見に行きたいなと思いつつも、春は訪ねる場所も多く、機会に恵まれなかった。そろそろ行ってみようと思い、この春に飯田市山本周辺のハナノキ湿地の一つを訪ねてみることにした。

2月、まずは場所を確認するため、ザゼンソウを観に行く前に立ち寄ることにした。目印の付けられた駐車場に車をとめて、周辺を歩いてみる。湿地にはどこから入るのだろうと思いながら、植林されたヒノキの道を歩いていく。道をしばらく進むと、目の前に山並みが開けた。伊那谷で観察していると、どこを歩いても、急に目の前が開けて、山並みが見える場所がある。河岸段丘による起伏に富んだ地形は、風景を絵にしている。

なだらかな崖をコケがおおっている。前日まで雨が降っていたこともあり、葉の開いたコケがきれいだ。ハイゴケ、シラガゴケの仲間は見て分かる。地衣類のコアカミゴケもある。昨年の冬、足助で訪ねた、農村舞台のある諏訪神社の石垣も、ハイゴケ、シラガゴケ、コアカミゴケが目立っていたなと思い出す。少し歩くと、シダの仲間であるマンネンスギがあった。杉の葉によく似ている。そばには、ヒカゲノカズラの群落もあった。

入るところが分からなかったため、駐車場まで引き返す。戻って周辺をきょろきょろ見ていたら、100メートルほど先の道路沿いに入口があった。ずいぶん先まで歩いてしまったけれども、周辺散策だけでも十分満足したので、移動することにした。立ち去り際、ほんのり黄色いチョウが眠たそうに飛んでいたので、写真に撮り、帰ってから確認すると、スジボソヤマキチョウだった。伊那谷らしい昆虫と出会えたので、嬉しくなる。

3月24日。あらためてハナノキ湿地を訪ねた。気温も上がり、生きものも本格的に動き出していて、スジグロシロチョウ、コツバメが飛んでいた。ハナノキは、ほぼ満開。赤い花がよく見える。少し後に満開となる桜の趣とは、だいぶ違う。自然に流れる時間に身を任せられなければ、美しさに気づくのは難しそうである。季節によって、場所によって、時間の流れが異なるのなら、それぞれの季節に咲く花々に、心を重ねられるようにありたい。

ちょうど保全活動をされている方たちが来て作業をされていたので、車でお弁当を食べていたら、「見ていってください」と声を掛けてくださった。道路から谷へ下る。背の高いハナノキを見上げながら、雄木と雌木のこと、ハナノキの分布のこと、湿地の植物のことなどを教えてもらった。定期的に観察会もされているそうなので、ちょうど良い機会があったら参加してみたいと思った。雑木林を歩くと、思った以上に広いことが分かり、ルリタテハ、テングチョウ、オナシカワゲラなど春の虫たちがいて、気持ちの良いところだった。

家に帰って、あらためて図録を読み直していたら、滋賀県東近江市には、聖徳太子お手植えといわれるハナノキの古木があると書いてあった。伊那谷をめぐっていると、聖徳太子の碑をよく見かける。もしかしたら、1400年前、伊那谷を訪ねた聖徳太子が、ハナノキの美しさに魅かれ、幼木を持ち帰って植えたのかもしれないなと想像した。〈下に続く〉