一年中どこにでもある印象のエノコログサ。小穂を伸ばす季節は初夏。エノコログサが路傍に出てくると春から季節が移る気配を感じる。エノコログサの仲間にはキンエノコロやオオエノコロなどがあり、種内変異が多く雰囲気の異なる個体もよく見かける。エノコログサは「狗尾草」(いぬのしっぽぐさの意)と書くが、爽やかな青空の下に揺れる姿はねこのしっぽを触りたくなるときの気分に似ている。
月別アーカイブ: 5月 2020
ヒメコバンソウ
イネ科の植物。わらじのような穂を垂れるコバンソウが目につくようになる5月頃、さらに小さな穂をつけるのがヒメコバンソウ。複数に分岐した細い柄の先端に三角形の穂を垂らしている。たくさんの小さな穂は、風に揺れるとしゃらしゃらと音を立てそうな雰囲気がある。目立つ野草ではないが路傍でよく見かける。
ドクダミ
古くから薬草として用いられ日本人にはなじみ深い野草。初夏に白い花を咲かせる。地下茎を盛んに伸ばし増えるので、気がつくと辺り一面ドクダミが覆っている場所も街中でよく見かける。咲き始めの時期、白い四花弁の花が濃緑色の葉のあいだから数輪のぞく姿は清らかに見えるが、独特の強い匂いは好みがわかれる。
ヒメヒオウギ
南アフリカ原産のアヤメ科。属名アノマテカでも呼ばれる。5月頃、路傍に逸出して咲いた花をよく見かける。白い六花弁の花に赤い班が入っている姿はかわいらしい。ピンク色の花も見かけるが、異国の色合いといった趣き。たくさん植えてあると華やかだが、石垣やコンクリートの割れ目などから数輪咲いている姿が好きである。
アメリカフウロ
春、都市部でもアスファルトの隙間などから顔を出している。葉は切れ込みが多く独特で、小さな野草の中でも見分けがつきやすい。ただし近似種も多い。葉は年中見かけるが花を咲かせるのは春も半ばになってから。4月の終わりから5月上旬にかけてピンクの小さい花を静かに咲かせる。