椋鳩十を読む会・7月

奇数月第3土曜日に開催している「椋鳩十を読む会」。椋鳩十の文学作品を読み解きながら楽しく活動しています。今回は、以下の内容で行います。

〇日程/2024年7月20日(土)13:00~16:30

〇場所/昭和生涯学習センター・第2集会室

〇アクセス/名古屋市営地下鉄「御器所」駅下車。2番出口を出て、御器所ステーションビルを右折し真っすぐ5分ほど歩くと着きます。有料駐車場有り(1回300円)。

地図はこちら → 昭和生涯学習センターの場所

〇参加費/大人500円、子ども(小学生以下)250円 ※資料代、会場代に使用

〇内容/①話題「大鹿村、伊那谷の話」②課題図書「アルプスのキジ」③歌の練習

〇備考/・「アルプスのキジ」は「椋鳩十の野鳥物語」(理論社)に収録されているほか、いくつかの本で読むことができます。・歌について、これまでに参加されている方は楽譜をお持ちください。初めての方には、当日配布します。

 

2024年後半の観察会について

例年よりもだいぶ遅く梅雨がやってきました。2024年後半の観察会のお知らせです。7月は観察会の予定はありません。8月半ばを過ぎると、街中でも虫の音がたくさん聞こえはじめます。8月下旬から「鳴く虫の観察会」を開催します。

 

〇8月の観察会

「第21回西味鋺観察会」

日時:8/24(土)or  25(日) 19:00頃~

場所:西味鋺コミュニティセンター周辺

◇鳴く虫の観察会です。コミュニティセンターに集合し、周辺にどのような虫の音が聞こえるか観察します。

 

〇9月の観察会

「鳴く虫の観察会」

日時:9/7(土) 19:30頃~

場所:阿久比町の田んぼ

◇2019年から始めた阿久比町での鳴く虫の観察会は、今回で6年目(2022年は雨天のため開催せず)。この場所は知多半島でも有数の鳴く虫の生息場所で、毎年30種以上の虫の音を聞くことができます。また、タイワンクツワムシが生息する場所でもあります。今年も周辺の環境を知りながら、どのような場所にコオロギやキリギリスの仲間が生息しているのか考えます。

 

10月以降は「秋の観察会」として小野浦、富貴(武豊町自然公園)での観察会を計画しています。秋の生きものの様子や、風景の変化を感じられる観察会にしたいと思っています。また近くなりましたら、お知らせします。

 

SCENE in the pen. 074

“Spawning of puffer fish”

Many puffer fish were gathered under the wave blocks in the fishing port. They spawn on shallow, gravelly beaches before high tide, just before the full moon. Puffer fish left behind the beach also return to the sea at high tide. [JUNE 2024]

Takifugu alboplumbeus

 

6月下旬、南知多町の漁港でクサフグが産卵していました。この場所ではクサフグは満月の直前、満潮の2~3時間前に一斉に産卵行動をします。メスが産んだ卵にオスが一斉に精子をかけると、海面が真っ白になります。

 

一を聞いて十を知る

「一を聞いて十を知る」ということわざがある。もともとは「論語」に記された故事から来ている。孔子の弟子である子貢が、同じくらいの年の別の弟子・顔回について、「自分は顔回には及びません。顔回は一つを聞いて、十を知ることが出来ますが、私は一を聞いて二を知る程度です」と述べた事に由来するそう。物事の理解が早い人を指す言葉として用いられている。学校の国語の授業などでも取り上げられるので、一般的によく知られていることわざだと思う。

このことわざについて、自分なりに考えてみる。まず、一つの話を聞いて、十の事柄を理解できる人というのは、たしかに頭の回転が良い人のように思える。大まかにかみ砕くと、ある人の話を聞いただけで、自分の体験や、頭の引き出しに閉まってある、さまざまな知識が反応し、繋がり合い、さらなる思索の肥やしになる、というようなことだろう。少し前から、タイパ(タイム・パフォーマンス)という言葉を耳にするようになった。物事の時間的な効率の良し悪しを指す言葉である。そのタイパの良さを、知識を増やす、体験や経験を重ねるといった、個人の成長に関する事柄に対しても求める風潮が一部にある。一を聞いて十を知ることができれば、これ以上のタイパは無い。

もう少し、考えてみる。私たち世代(1980年生まれです)の多くの人は、何かを知りたいと思ったとき、まず、インターネットを活用して調べると思う。上の世代の方たちには、辞書にあたる、図鑑にあたるという方も多数いる。インターネットは、情報収集の利便性という意味では、とても優れている。観察や撮影をしていて、知らない生きものや花を見つけたときは帰ってから調べるのだが、「図鑑にあたった方が良いのだけれど」と思いつつも、名前を知る程度だったら、インターネットで調べてしまう。ただし、そこから興味が発展して、生息環境や開花時期、同定のポイントなど、より詳しく調べる場合は図鑑にあたる。一方で、図鑑に記されている内容が、まだ乏しいものは、インターネットで調べられる記事や資料を頼りにして、考える。どちらが「より優れている」という話ではなく、どのような情報を信頼して使うか、だと思う。

前述したタイパについては、私たちが当たり前にインターネットを活用するようになった時期を経て、動画やSNSが登場・流行して出来た言葉、価値観だろう。社会全体で、情報交換のスピードが上がり、何かにつけて素早く、とりあえずの結論を求められるようになった。あらゆる事柄が一見、複雑なように見える現代である。一つの事柄を理解するのに時間をかけてはいられない。できるだけ早く物事を理解しないと、話についていけなくなる。そんな焦燥感が言葉の拡大を助長しているんじゃないかと思うが、違うかもしれない。ほとんどの人は、そんなややこしい事は考えていないと思うので、考え過ぎは承知の上である。

考えが大分逸れてしまったので、戻すと、日常的には、「一を聞いて一を知る」で十分だと私は思う。社会生活を送っていれば、新聞を読んだり、人と話をしたり、毎日さまざまな話題に触れる。その一つ一つから、いちいち十を知っていたら、頭が疲れる。なので、十とは言わず、三~四を知ることが出来るような内容であっても、特に考えず、そのままにしておく。私は、学生でも社会に出たての若者でもないので、短期間で、たくさんの情報を取り込む必要は無い。普通に生活している大人たちは、おおむね、「一を聞いて一または二を知る程度に留めておく」にしているんじゃないかと思っている。

さて、ここまで読んで頂いて、もう気づかれていると思うが、このエッセイはただの言葉遊び。頭の体操のようなもので、とくに意味がある訳ではない。

最後に、せっかく始めた言葉遊びなので、もう少しだけ考えたことを書くと、このことわざで注目されるのは、「十を知る人」の理解力だが、より大事なのは、「十を知らせることが出来る一を言える人」の存在だと思っている。受け手の理解力だけが問われるのは、フェアじゃない。その人の一つの話で、誰もが十を知れずとも、聞いている人が五~六、知る事ができる、そんな一を言える大人が数多くいることが良い社会だと思う。もちろん、聞き手も言う人任せでは無く、五~六を知る準備が必要だろう。

一を言うために、十も二十も言葉を重ねる現代。本当に大切な「一」を言える人が身近に思い当たる人は、幸せな環境に生きていると思う。

 

はなやすり出版文化を考える会(6/29)

6月29日(土)開催の「はなやすり出版文化を考える会」のお知らせです。

第二回となる今回の内容は、

〇題目1「文芸誌『うみべ』について~文学を通して身近な自然を考える」
〇題目2「本の制作と販売について~どのように出版案を形にしていくか考える」

と題し、考えます。

題目1で取り上げる文学者に関しては、第一回のまとめ記事内にPDFファイル(重要文学者一覧)がありますので、プリントアウトしてお持ちください。今回は、「いわさきちひろ」と、もう一人を取り上げる予定です。

第一回のまとめはこちら

題目2では、本の制作と販売について、現代の一般的な流れと課題を見ながら、どうやって合理的に読者へ出版物を届けるか、について考えます。具体的には、「子ども向けの絵本」と「大人向けの子どもの本」がテーマです。

興味のある方は是非ご参加ください。

 

<会場>

名古屋国際会議場 会議室433

会場のホームページはこちら

<日時>

2024年6月29日(土) 13:15開始 16:30終了 ※途中、休憩を入れます。

<参加資格>

①1977年1月1日以降生まれの方

②出版に関する知識は、まずは必要ありません。豊富な知識よりも出版について興味・関心があり、ご自身の様々な体験を通した経験をもとに、話し合いに参加できる方を歓迎します。話し合いに参加して、今、取り組んでいる活動や、携わっている仕事に活かしたい方、出版社がつくられていく過程を目の当たりに出来るという稀な機会を一緒に楽しみながら考えたい方も、ぜひお越しください。

<参加費用>

1,500円(会場費、資料費等に使用します)

<定員>

15名

<懇親会>

終了後、懇親会を予定しています(17:30~19:00、場所未定)。かしこまったものではありませんので、お気軽にご参加ください。

 

終了しました。ご参加いただき、ありがとうございました。

 

名古屋、野歩き(二)矢田川

矢田川は、瀬戸市の海上の森と呼ばれる山が水源となる、赤津川を源流とする。赤津川は尾張旭市で瀬戸川と合流し、矢田川に名前が変わる。矢田川は、名古屋市守山区と東区の区境を流れ、北区に入る。観察会をしている西味鋺付近で庄内川と沿うようになり、合流。その先、庄内川は清須市、大治町との境を流れながら中川区に入り、西側を流れる新川とともに伊勢湾に至る。新川側河口にはラムサール条約湿地でもある藤前干潟がある。

5月下旬、来月の西味鋺観察会の下見のため矢田川にやって来た。矢田川とは縁があり、市内で最初に観察会をしたのは、東区にある木ヶ崎公園そばの河川敷で、毎年秋に開催している「鳴く虫の観察会」。その後、西味鋺観察会が始まってからは、主にふれあい橋付近で草花を観察したり、水辺の広場で草むらの昆虫を捕まえたり、川に入って水生生物を探したり。来るたびに、都会にありながらも、空が開けた場所だと思う。以前、地元の方に教えてもらったのだが、もともと川は、もう少し南を流れていたが、頻繁に氾濫し、洪水被害が多かったため、工事によって、庄内川と沿う現在の流れに流路を変更した。

庄内川方面から、ふれあい橋を渡って堤防を歩き、いつも観察会をする河川敷に下りる。オオキンケイギクが咲いている。オオキンケイギクは毎年、問題にされるほどさまざまな場所でよく咲いているが、今年は、一層よく見かける。一昨年前に見つけたセイヨウヒキヨモギは今年も咲いていた。近くにセイヨウヒキヨモギによく似た、白と淡い紫の花があった。セイヨウヒキヨモギに白花があるのかな、と思ったのだが、調べてみると、ヒサウチソウという別種。1982年に名古屋市で最初に見つかり、現在は全国に分布を広げている。昨年、一旦刈られたクズは、再び旺盛につるを伸ばし始めていた。赤紫色に光る上翅をもつ甲虫、フェモラータオオモモブトハムシを見つけたのは、この場所。昨年のハイライトの一つとも思える出会いだった。観察会に参加している小学生の子が、クズの根元につく虫こぶを探したそうだが、今年は見つかるだろうか。そろそろ、成虫があらわれる時期である。

モンシロチョウの舞う川べりで荷物を下ろし、水に入る準備をする。川に入り、長靴に水が入らないよう、水位を見ながらゆっくりと歩く。川の流れはそれほど速くない。草の茂る岸の下あたりに網を差し入れて、がさがさと揺すりながら、砂ごとすくい上げる。網の中で、ぴちぴちとはねる川エビ。ヌマエビか、スジエビか。すぐには見分けがつかない。体長1・5センチほどのひょろっとしたヤゴと、もう少し大きい3センチほどのヤゴがいる。どちらもハグロトンボのヤゴである。見つかった生きものは他に、アメンボ(オオアメンボ?)と、おそらくヨシノボリと思われる小魚。昨年いた、コヤマトンボやアカネのヤゴは、まだ見つからなかった。数日前に、観察会に来ている子どもたちが参加した河川事務所主催のガサガサ調査では、テナガエビやカニがすくえたそうで、この日も、生きてはいなかったが大小のカニと、テナガエビの透きとおる脱け殻が見つかった。

少し下流の砂州に行くと、濃紺の木の実がつぶれて色がついていたので、上を見ると、桑の実がたくさんなっていた。熟していない赤い実と、すっかり濃い色の実。木からは鳥の声もしたが、何の鳥かは分からなかった。川と砂州を歩き、上下流を行き来する。川に沿って岸に生えている草花を見ると、ユウゲショウ、セイヨウアブラナ、ヒルガオなどの花が咲いていた。あまり見たことのないカヤツリグサがあったので、引き抜いて持ち帰り、調べてみると、イヌクグという種。ハマスゲと同じように、もともとは海岸性の植物なのだそう。

1時間半ほど川にいて、この日の観察を切り上げることにした。水のペーハーを調べていた先生に聞くと、水質はアルカリ性で、きれいだった。けれども、生きものは少ない。その理由は何だろう。探るために、もっと上流も訪ねてみようと思う。最後に魚を捕るための仕掛けを入れる場所を確認し、岸に上がった。帰り際、河川敷に一本、単独で生えるどんぐりの木陰に、自転車を止めて、寝そべっている人がいた。涼風が吹き、気持ち良さそうだ。のどかな河原の風景を見て、爽やかな心持ちのまま、川を後にした。

2週間後、川の仕掛けにはテナガエビが入っていたと連絡を頂いた。ハグロトンボのヤゴは、熱田まつりの日の夕方に羽化した。川に放すため、翅がすっかり乾き飛ぶことが出来たのを確認し、籠に入れる。しばらくして、花火の音が祝福するように鳴った。

 

 

名古屋、野歩き(一)

以前、長く編集の仕事をされている方に「HANAYASURI」を数冊お渡ししたところ、後日メールで感想をいただいた。「HANAYASURI」の内容と編集方針を読んで、地球環境に対する現代の矛盾を指摘して頂いた文章の中で、こんな言葉が印象的だった。「野歩きでの発見のように、あらかじめ計画されていない世界のなかで、意外な発見がある暮らしがふつうになれば、消費も抑えられるし、結果的に、地球環境に優しい世界になるはずなのに」。

今年から、名古屋のまだ緑が残っている場所を歩いてみる、というテーマを掲げた。地図を見ながら市内で緑が残っている場所を考える。人口220万人を超える大都市。住んでいると、あまり大都市を感じることがないのだが、東京23区、大阪市、横浜市に次いで人口が多い。西日本と東日本を、さまざまな側面において繋ぐ役割をもつ土地、とも言える中部。名古屋は、その経済的拠点都市。経済拠点となる都市周辺の宅地開発は、1970年代、高度経済成長期以降、変わらず続いている。名古屋も御多分に洩れず、である。

名古屋に残っている緑地について調べてみると、まず、私たちの拠点である熱田には熱田神宮の森がある。熱田区は2つの大きな国道が交わる交通の要所だが、神宮の森や高座結御子神社の森、断夫山古墳、白鳥古墳など、市内中心部にしては、まだ緑が残っている。ほかの地域を見ると、大きく緑が残っているのは東部丘陵と呼ばれる一帯。東部丘陵の緑は市内東部の南北にわたって残っている。北から見ていくと、守山区には東谷山と小幡緑地がある。昨年末に参加させて頂いた、ある研究会では、東谷山周辺の植生は絶滅が懸念される植物が見つかるなど、全体的に回復傾向にあるとのお話だった。一方で、小幡緑地の雑木林や田んぼのある一区画は、宅地開発の計画が進んでおり、そこを拠点に自然の観察をされている方たちが土地の稀少性を訴え、一部が残されることになった。少し南に下ると、千種区、名東区、天白区、昭和区と4区にまたがる、東山がある。ここには丘陵地を活かして市の植物園が整備されている。これだけ広大な面積を活かした公立の植物園は大都市では他に類を見ないそうだ。周辺には「一万歩コース」と名付けられ、東山の森の林縁を歩ける遊歩道があり、もともと名古屋や近郊に住む人々の身近にあった自然環境を感じることができる。名東区の東の端には猪高緑地がある。塚ノ杁池をはじめとする大小いくつかのため池があり、緑地の自然を守る取り組みも長い。地形を活かして、毎年、田植えもされている。市内南東部の天白区、緑区には、天白公園、相生山緑地、新海池公園、大高緑地、熱田神宮の摂社である氷上姉子神社といった、大小の緑地や森が点在する。

東部丘陵以外では、庄内川・矢田川流域に河畔林がまばらに残っている。また、街中の神社を訪ねてみると、小面積でも、市の特別緑地保全地区に指定されている雑木林を見かける。保全地区は立ち入ることができないところもあるが、周囲と境内を歩くだけでも、どのような木々が森をつくっているかが分かる。アラカシやシラカシ、シイ、アベマキなど森を育む糧となるドングリの木。エノキ、ケヤキ、クスノキなど人の暮らしのそばにある木。モチノキ、ヤマモモなど鳥が実をついばむ木。サカキ、ヒイラギ、マサキなど神事に縁のある木。周囲はアスファルトに覆われた道路。この小さな森を求めて、鳥がやってくる。だが小さな森は、カラスのねぐらになっていたり、体が大きく喧しいヒヨドリに小鳥たちが委縮していたり。点在する神社の森をつなぐ緑が、もっと増えると良いのだけれど、と歩きながら考える。市内で獣の生息地は、おそらくわずかだろうが、ある地域にはキツネが定住しているという話も聞く。人間優先の大都市でも、強かに生きる場所を見つけているのだろう。

大都市に暮らす身としては、安定した都市生活が営まれながらも、そこを十分な生息場所としていた昆虫や魚、は虫類や両生類、鳥や獣も一緒に生きられる環境を、どうすれば取り戻せるだろうと想う。昨年、名古屋市は、政令市として初となる「ネイチャーポジティブ宣言」を表明した。2030年までに自然環境の損失を食い止め、回復軌道に乗せることを掲げる。ネイチャーポジティブの理念が、早急にたくさんの人々に伝わり、損失を無くし、回復へと向かう取り組みが、積極的に実行されることを期待している。

 

「夏の観察会 in 富貴」のお知らせ

はなやすり観察会では初めてとなる武豊町・富貴での観察会です。知多半島の内陸部は、南北に半島の背とも言える小高い山が続き、雑木林が残っています。今回の観察地、武豊町自然公園もその一つです。5月には松林でハルゼミが鳴いており、早くもコクワガタが姿を見せていました。観察会当日は、これから雨と暑さの季節に移っていく直前の時期となります。新鮮な夏の空気を体に感じながら、そこに息づく昆虫や植物を観察します。(写真は5月に撮影)

〇日程/2024年6月16日(日)

〇時間/10:00集合~12:00頃、終了予定 ※場合によっては30分ほど延長することもあります。余裕をもってご参加ください。

〇集合場所/武豊町自然公園内「展望広場」 地図はこちら

※自動車でお越しの場合は、南門に駐車場があります。展望広場までは、南門から入って案内板に従い進んで頂くか、又は、入らずに林縁を向かって左手に進んで頂くと西門があり、入った所が展望広場です。電車でお越しの場合は、最寄りが「冨貴」駅になります。9:43着の電車(河和行き、急行)でお越しいただけましたら迎えに行きますので、その旨お知らせください。駅からは車で7~8分ほどです。

〇費用/無料

〇その他/観察会終了後、お弁当など昼食をとられる方は、各自ご用意ください。トイレは展望広場にありますが、なるべく済ませてからお越しください。暑さとやぶ蚊の対策(虫よけスプレー、長袖、日差し除けの帽子、水筒など)をお願いします。少し長い距離(約2キロ)を歩きながらの観察となります。歩きやすい靴でお越しください。メモを取る場合は筆記用具をご用意ください。虫捕りをしたい方は、虫かご、虫捕り網などをご用意ください。

 

終了しました。ご参加いただき、ありがとうございました。

 

6月の観察会スケジュール

5月下旬となり、梅雨のような雨の降る日が続いていましたが、ようやく晴れて、しばらく天気が良いようです。来月、6月の観察会のお知らせです。初めての方、いつも来てくださっている方、お久しぶりの方、たくさんのご参加をお待ちしております。

「ヘイケボタルの観察会」

日時:6/1(土) 20:00頃~

場所:美浜町奥田

◇かつては身近なホタルといえばヘイケボタルでしたが、知多半島では生息場所がほとんど無くなってしまいました。知多半島に特徴的な山田の環境を知り、ヘイケボタルを観察します。

 

「夏の観察会」

日時:6/16(日) 13:30~15:30頃終了予定

場所:武豊町自然公園

◇武豊町では初めての観察会です。松林など、かつての知多半島の森をまだ感じられる自然公園を歩き、植物や生き物を観察します。虫捕りがしたい方は、虫かごや網などをご持参ください。知多半島での観察会は、これ以後、9月まで予定しておりません。上半期の締めくくりとなる観察会です。みなさまのご参加をお待ちしております。

 

「第20回西味鋺観察会」

日時:6/22(土) 10:00~12:00

場所:矢田川・水辺の広場(西味鋺コミュニティセンター集合)

◇今年も矢田川に入って水生生物の観察をします。暑気払いも兼ねて、是非ご参加ください。

 

奈良に漂う(下)

奈良に来る少し前に、入江泰吉記念奈良市写真美術館が編纂した「回顧 入江泰吉の仕事」(光村推古院、2015)を読んだ。未発表作品から代表作まで367点の写真が収録されており、写真家の仕事と生涯を辿ることができる、とても良い本だった。その中で「白毫寺村」という地名がたびたび登場し、なんとなく気になっていた。お寺があるのだろうということは分かるが、読み方も分からなかったので、調べてみると「びゃくごうじ」と読む。「白毫」とは、仏の眉間に生える白い巻き毛のことで、仏像では丸いふくらみで表現される。仏教美術では如来と菩薩につく、とのことだった。

新薬師寺を後にして、奈良盆地の東の端を南北に通る「山の辺のみち」を歩く。この道は奈良市から南の天理市、桜井市に至る。その先には万葉のふる里である飛鳥(明日香村)があり、今の時期は古より桜の名所として知られる、吉野の山が連なる。

白毫寺に至るまでの道を歩く。すぐそばの山並みは木々の新緑がパッチワーク状に色が重なり、青空を背景にして、目にやさしい。新緑は日に日に色を変えていくので、この時期にしか、この美しさを楽しむことはできない。白毫寺の集落に入っていく。観光客とも町の人ともすれ違わない、閑かな道。土塀をもつ民家が多く、ところどころ大きく崩れている。そこに新しい住宅も混ざっているため、崩れている壁は目立つ。お寺への看板があらわれたので、指示に従い、道を折れると、先に山を上る石段が見えた。石段に向かって歩いていると、鳥の鳴き声がして、目の前を二羽が過った。止まった民家の瓦屋根を見ると、青い色の羽にえんじ色のお腹。もう一羽は、灰色がかった茶色。イソヒヨドリのつがいだった。

白毫寺は高円山の山麓にある。石段を上った境内からは市街地が一望できた。椿の木が多く、「五色椿」と呼ばれる樹齢450年の木にも花が咲いていた。初夏を思わせるあたたかな陽光。ゆっくりと境内を散策する。小径に並ぶ石仏を眺め、本堂、宝蔵に入った。小一時間いて、立ち去る前に最奥にある万葉歌碑を見に行った。「高円の野辺の秋萩いたづらに咲きか散るらむ見る人なしに」。笠金村という人が詠んだ万葉の歌。白毫寺は秋になると萩の花が境内を彩る。この石碑を揮毫したのは国文学者である犬養孝。1200か所にのぼる万葉ゆかりの地を訪ねて歩き、各地の万葉の風土を守ることに生涯をかけた人物だった。

高畑に戻り車を動かして、写真記念館の駐車場に止めた。記念館に入ると、若手写真家の企画展と、入江泰吉の写真を紹介する展示「塔のある風景」の垂れ幕が目に飛び込む。階段を下りて、受付で入館料を支払い、展示室に入る。天井の高い広い展示空間に並ぶ「塔」の写真。写真のサイズは大きく、一点一点がゆとりをもって、展示されている。大仏殿の塔や室生寺の塔。奈良大和路を歩き続けた写真家が、四季折々に向けたまなざしが垣間見える。のんびりと、緩やかに鑑賞の時間が流れていく。若手写真家の企画展示を見て、図書室では棚に並ぶ古今東西たくさんの写真集を手に取る。これだけ写真集が揃う施設は稀である。

一般展示室では地元写真家の方たちが作品を発表していた。住所と名前を書くと、「写真を撮られているんですか?」と聞かれたので、知多半島で写真を撮っていることを話す。展示を見ると、女性のグループで、奈良を中心に写真を撮っているようだ。名古屋とは違う関西らしい商店街の雰囲気や、昨日訪ねた奈良公園の様子が見ていて楽しい。石見の神楽舞の写真を撮っている方もみえたので、自身のテーマをもとに各地で撮影しているのだろう。話しかけてくださった方は、すぐに検索したそうで、新美南吉の話や、詩の話、地域を決めて写真を撮ることなどの話をした。ふと思いついて「いろんなところで、『鹿に注意!』という看板を見たんですけれど、奈良公園以外でも出会うんですか?」と聞いてみると、少し笑いながら「どこにでもいます。春なので今はよく動いていると思います」。生きものとの共存共生を思うが、それだけ看板が多いということは、つまり、シカによる人への被害、経済的な被害も甚大なのだろう。来訪者アンケートを書いて、お礼を言い、部屋を出る。最後に学芸員の方に「in the pen.」を寄贈して、館を出ると、夕方の4時になろうとしていた。

帰りは、山を越えて三重県に至る県道で山添村まで行き、名阪国道に入った。伊賀上野、亀山、鈴鹿、四日市とインターの出口看板を見て、帰宅時で渋滞している伊勢湾岸道路の東海インターで下りる。いつも観察や撮影から帰る時間と同じ時刻に家に着いた。