9月は、ひと月を通じて、ほぼ毎日雨が降った。その間、24時間雨量が25年前の東海豪雨を越えた日もあった。10月に入ると一転良い天気が続いた。下旬には、大鹿村と伊那市の境で撮影された400頭以上のシカの大群と、シカによる高山植物の食害の記事が新聞に載った。考えることの多かった10月のことを備忘録として記しておこうと思う。
10月2日。名古屋市名東区に行く。コンサートプログラムの制作を依頼してくださった方に完成品をお届けし、その後、猪高緑地へ行った。猪高緑地には何度か来ているが、ゆっくり歩くのは久しぶり。雑木林にはフユノハナワラビが出ていた。道に沿ってヤブマメ、萩の花が咲き、終りかけのヒガンバナでイチモンジセセリが吸蜜していた。ハンノキ湿地では、クサヒバリの音が聞こえる。30分ほど歩いて市が管理する田んぼに到着。子どもの家の稲は、よく稔っていた。豪雨でどうなるかと心配されたが、事前に水が抜かれ、稲が水に浸からなかったそうだ。棚田状になった田んぼは一枚ずつ借主が違うため、田んぼごとに雰囲気が異なり、おもしろい。草取りを気にしていないのか、オモダカの花がいくつも咲いている田んぼもあった。こちらに気づいたアオサギが飛ぶ。少し離れたところに下りて、真っすぐ首を伸ばして立つ。田のそばでは、ミゾソバ、ヒヨドリバナ、ツリガネニンジンが咲いていて、赤とんぼが飛んでいた。スズメウリの実を見つけたが、まだ白くなかった。
10月3日。子どもの家の行事に参加させていただき、今年も明智リンゴパークに行く。昨年は小雨の中で収穫したが、この日はすっきりと晴天。到着すると、ここでもクサヒバリが鳴いていた。赤くなったリンゴを一つもいで、まるかじりする。今年も美味しい。リンゴをまるかじりする子どもたちや父兄の方たちのそばを離れて、農園内を歩いていると、タテハチョウが飛んでいた。タテハチョウの仲間は、縄張り意識が強い。このチョウも、こちらを少し威嚇するように周囲を飛び、リンゴの葉に止まる。止まると、顔をこちらに向ける。近づくとすぐに飛び上がり、別のリンゴの木に止まる。止まっているところを見ると、知多半島でもよく見かけるキタテハだった。
収穫が終わり、団子杉がある場所へ移動。周りは植林の森で、谷あいに田んぼと湿地がある。見上げるとトビが悠々と飛んでいた。お弁当を食べ終わると、大人も子どもも、それぞれ自然の観察が始まる。今年生まれた小さなトノサマガエルを捕まえる。小川に入りサワガニをすくう。小屋のそばにアリジゴクの巣を見つけ、中にいるか掘ってみると、いた。そばには大きなサンシュユの木があり、赤い実をとるために登る。自然の中、子どもたちが走り回る風景を眺めながら、生きものを探す。アキアカネがロープに等間隔でとまっていた。アキアカネも数が激減しているトンボ。ほかにはイナゴやホシササキリ、クサキリ、ショウリョウバッタなどがいた。独特な姿形をしたシャチホコガの幼虫も見つける。
明智からの帰り道、恵那市三郷町の寿老の滝と椋実八幡神社を訪ねる。寿老の滝のそばには、屛風山を散策する自然歩道の入口があった。川のそばに下りると、ゲンノショウコがきれいに咲いていた。人が来て驚いたのか、マムシが木から落ちて、川を対岸まで泳いでいった。椋実は田んぼが広がる静かな集落。八幡神社の前を流れる小川がきれいだった。
10月4日。秋の観察会。武豊町にある自然公園を訪ねる。田んぼは収穫前で稲穂が垂れていた。春に来たときには、やめられたのかなと思っていた。今年も続けられていたことが分かり少し安心するが、持ち主の方も大変だろうと思う。田んぼ環境を維持するため、田作業をされる方たちが無理なく続けられるために、どんなことが考えられるか。
10月8日。南知多町でタカの渡りを見るため、朝5時10分に家を出る。夜空を見ると、オリオン座。まだ通勤の車も走っていない、静かな国道1号線を走る。都市高速に入り、知多半島道路を走っていると徐々に空が明るくなり、三河山地の稜線がくっきりと見えた。朝焼けで空が赤い。目的地である桜公園に着く頃には、だいぶ空が明るくなった。伊良湖岬のある渥美半島を眺めながら、8時まで観察したが、渡りは見られず。漁港上空で餌を狙っているトビだけ。周辺では、もう10月なのにキリギリスがあちこちで鳴いていて、ウスバキトンボの集団がエサを獲っていた。タカ類以外では、コジュケイ、キジバト、ヒヨドリ、スズメ、モズの声が聞こえた。帰りに海沿いへと坂を下る途中、3羽のキセキレイがいた。一週間前には、サシバ、ハチクマ、ツミが見られたそうだ。残念。来年、また来よう。<中へ続く>
