野の花の名前をひとつ覚えたら道端にひとつ色が生まれた
書肆花鑢(しょし・はなやすり)は、名古屋市熱田区で書籍、冊子など紙媒体の制作をささやかに手掛けています。
屋号について
書肆は、「本を売るところ。本を作るところ」を意味し、花鑢は、「シダ植物のハナヤスリ科ハナヤスリ属(以下、ハナヤスリ)」から名付けました。
ハナヤスリについて
現在、ハナヤスリ属は8種類と1雑種が日本で確認されています。絶滅が危惧されている種もあります。シダ植物は胞子によって繁殖し種子植物よりも古い歴史をもった植物ですが、ハナヤスリは、化石の記録が少ないことから、ルーツがはっきりしないシダと言われています。
このようなハナヤスリを「生きた化石」と呼ぶ人もいます。シダ植物のなかでは例外的に、共通柄(葉と茎の役割を両方兼ねる器官だと思ってください)が二次肥大成長することから、原裸子植物の生き残りという仮説が提唱されたこともあります。原裸子植物とは、地球上で最初の森林形成を担い、すでに絶滅した植物群です。
ハナヤスリは、一般的に想像されるシダ植物とは異なり、野草と見間違えるような姿をしています。大きいものでも高さ15センチくらい。春から夏にかけてもっとも成長します。ほかの野草に紛れながら、まっすぐ立つそのたたずまいには凛々しさがあるようにも思えます。
小さな植物ではありますが、気になった方は、図鑑を開いて、野外に探しに出かけてみてください。名古屋市内では平和公園の一角で見ることができます。